子どもに紹介したい本

むらさき:えー、サイト管理者の特権を振り回して司会進行を務めさせていただくむらさきです。

でくのぼう:「楽器と人柄」に続いて、頼んでもないのにまたでてきたわけね。

むらさき:そんなこと言わなくてもいいのに、ぐっすん。・・・ということはおいといて、と。今回のテーマは、「自分に子どもが出来たときに紹介したい本」です。これは最初、でくさんが言い出したんだよね。

でくのぼう:というよりも何となくおもしろそうだから書いたら、例によってむらさきさんが「コーナーにしよ」って言い出したんでしょ? まあ、「こども部屋」にぴったりのテーマだから、いいんだけどね。

むらさき:そう。それでゆっくりとでくさんに原稿書いてもらってる間に、ちょうど本好きの女学生(←この言い方はどうなんだ?)2人と知り合って、その2人にも原稿お願いした、というわけ。だから今回は、でくさん、しろさん、渉さんの3人の合作となりました。

でくのぼう:似てるところも違うところもあって、おもしろくなったよね。

むらさき:では、そろそろ始めましょうか。子どもに紹介したい本の中でも特に愛着のあるものは「いちおし」として挙げてもらってます。それ以外は、「おすすめ」ということで。あと、でくさんと渉さんには、漫画についても語ってもらっています。

でくのぼう:はじまりはじまり〜。

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はじめに

小説編
いちおし
おすすめ

漫画編
いちおし
おすすめ



はじめに

むらさき:では、執筆者の方々を紹介しながら話をすすめていきましょう。まず、しろさんです。しろさんは、子どもの頃から良い環境で豊かな読書生活を送ってきたようです。お話会とか。では、しろさんにバトンタッチ!

しろさん:
私が小学生の頃、母はお話会のおばちゃんというものをやっていました。

毎月公民館でお話会をひらき、子どもを集めてお話、絵本、紙芝居を順番に一つずつきかせるというものでした。最後に折り紙なんかもやったりして。

始まり方がおもしろいんですよ。絵本や紙芝居をのせる小さな机の上にお話のろうそくがのっていて、「このろうそくに火をともすとお話の世界にはいります」と部屋を暗くしてろうそくの光りだけのなかでおはなしが語られるのです。そうです。お話会のおばちゃん達は「三枚のおふだ」等のお話をまるおぼえして私たちに語ってくれるのです。そしてお話が終わると電気をつけて絵本、紙芝居へとうつるのです。プログラムが終了すると、その月の誕生日の子供が前に出てろうそくを吹き消します。その間にみんなは心の中でそっとねがいごとをします。素敵だと思いません?

将来子どもをもったらぜひお話会に通わせてあげたいです。他の人はどうしてたか分かりませんが、母はお話をノートに書いて覚えていました。「覚えたからきいて」と、母から何度かお話をきかせられました。

むらさき:あー、お話会か、こういうのいいなあ。いいよね、こういうの?

でくのぼう:こういうお話会が定期的にあるというのはいい環境ですよね。私の通っていた小学校でも、時々ありました。図書館の隅っこにいつもろうそくがスタンバイしてあった覚えがあります。

むらさき:ということはけっこう一般的なのか? ろうそく&お話会。・・・知らなかった。

でくのぼう:お話会とろうそくは、わりと一般的なのかもしれないですね。小学校のお話会は学年別に年に一回くらいしかやってませんでしたけどね。ろうそくは子どもたちの注意を引きつけて、聞く態勢を作らせるのに効果的なんじゃないかな。

むらさき:これまた冷静な分析・・・。さて、次は渉さんです。この人はなんだかよくわからん謎の人。まあ、おもしろいから許す。今回は、なぜかかなりマジメに書いていただきました。「子どもに紹介したい本」を書くのはどんな感じだった?

渉:「子どもに紹介したい本」と聞いて思い出すのは、やはり自分が子どもの時に読んだ本。生まれて初めてちゃんとした「お話」と接したのは、小学校に上がってからの国語の教科書だったためか、教科書にあった作品をよく読みました。自分で実際に読んでみると、国語の先生の解釈とは違ったものを感じることがありました。「教科書に収められている作品」としてではなく、一つの作品として読んで欲しいですね。

むらさき:確かにね。僕もよく国語の教科書とか参考書にのってた作品の中からおもしろそう、と思ったやつをよく読んでた。井上靖の「しろばんば」と出会ったのも参考書だったな。・・・と、僕の話はおいといてと。それでは、そろそろ本題の「子どもに紹介したい本」を具体的に挙げてもらいましょう。

でくのぼう:ちょっと待て。私には何もふってくれないわけ?

むらさき:あっ(忘れてた、やば)・・・。いやいや、でくさんにはたくさんの本を挙げてもらう予定だから、今は力を温存してもらおうと思って。

でくのぼう:なんか釈然としないけど、とりあえずそういうことにしておきましょう。では、私たちの「いちおし」の本たちです。



<小説編>


いちおし

しろさんの場合

ミヒャエル・エンデ『モモ』『はてしない物語』

C.S.ルイス『ライオンと魔女』
ナルニア国ものがたり第一弾。かくれんぼをしていたルーシーは衣装たんすのおくから冬の国へ・・・。 これをよんだら残りの六冊も読みたくなります。

安房直子『風と木の歌』
子狐に指を染めてもらった僕。その指でつくる窓には懐かしいものがうつります・・・「きつねの窓」他心暖まる童話が8編入っています。


渉さんの場合

森鴎外『高瀬舟』
「安楽死」問題を世に問う作品です。この作品に対し何を思うかは、「死」を考えるにつながると思います。私にとって、衝撃的だった作品です。

梨木香歩『西の魔女が死んだ』
梨木香歩の作品を読んだのはつい最近ですけど、とても良いです。この『西の魔女が死んだ』と『からくりからくさ』が同じくらい大好きなのですけど、『西の魔女が死んだ』をもっと純粋だった子どもの頃に読んでいたら、もっと豊かな人間になれたのに。「西の魔女」の愛は、きっと心豊かな人間になる力となると思います。

高橋宏幸『チロヌップのきつね』


でくのぼうさんの場合

佐藤さとる『小さな国』シリーズ
コロボックルと少年たちの心温まる交流の物語。挿し絵も可愛くて好きだった。

梨木香歩『裏庭』『りかさん』
『西の魔女が死んだ』
自分の奥底にあるものを見つめ直す機会をくれた。

ミヒャエル・エンデ『モモ』『はてしない物語』『エンデのいたずらっ子の本』
生き生きとしたいたずらっ子が魅力的。子どもたちが動き回るのが目に見えるような迫力。

サン=テグジュペリ『星の王子さま』
たいせつなものは目に見えない。優しい言葉が素直に心に響いてくる。

モンゴメリ『赤毛のアン』シリーズ
アンとギルバートのような素敵な恋人同士に憧れました。国も時代も違うのに自分と重ねて考えられる。私の大切な本。

角野栄子『アイとサムの街』
見慣れた自分の街が知らない街に見えてくる。ドキドキの冒険物語。

ヨースタイン・ゴルデル『カードミステリー』『ソフィーの世界』
自分という存在の不思議さ、自分たちのいる世界の不思議さに気づかせてくれた本。

上橋菜穂子『月の森にカミよ眠れ』
黎明期の日本の物語。新しい時代に移り変わる産みの苦しみが幻想的に語られる。

斉藤隆介/作,滝平二郎/絵『花さき山』『モチモチの木』
読むと素直な気持ちになれる、無骨なあたたかさが心地よい。絵も美しくて素敵。


むらさき:はい、みなさんありがとうございました。僕は知ってる本もあれば知らない本もありますね。僕は定番の本をあまり読まずに育ったので・・・。3人が挙げた本の中で重なっているのは、エンデの『モモ』『はてしない物語』と梨木香歩の『西の魔女が死んだ』ですね。やはりエンデ強し! この3冊は僕も読んだことあるけど、確かに良いです。僕も子どもに紹介したいと思いますね。続いて、「いちおし」以外の「おすすめ」の本です。



おすすめ

しろさんの場合

ミヒャエル・エンデ『魔法のカクテル』

エーリヒ・ケストナー『ふたりのロッテ』

モーリス・ドリュオン『みどりのゆび』

ジョン・トルキ−ン『ホビットの冒険』

メアリ・ノ−トン『床下の小人たち』

バ−ネット『小公女』『小公子』『秘密の花園』

アン・フィリッパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』

アンナ・ベネット『魔女になりたくない女の子』

エレノア・ポーター『少女ポリアンナ』

ビアトリクス・ポター『ピーターラビットのおはなし』

サムイル・マルシャーク『森は生きている』

A.A.ミルン『くまのプーさん』

トーベ・ヤンソン『楽しいムーミン一家』

あまんきみこ『車のいろは空のいろ』

梨木香歩『りかさん』『西の魔女が死んだ』『裏庭』

新美南吉『ごんぎつね』

宮沢賢治『銀河鉄道の夜』


渉さんの場合

新見南吉(絵:黒井健)『ごんぎつね』『手ぶくろを買いに』
いろいろな出版社から、いろいろな絵で出版されてますが、私のおすすめは黒井健氏の絵。美しい者に触れるのはとても良いことですから(私は黒井健氏のファン)。ゴンの償いは死ぬ間際になってようやく叶うわけですが、私は読む度にやるせなくて悲しくて泣いてしまいます。

江戸川乱歩『少年探偵シリーズ』
この作品はできるだけ若いうちに読んで欲しいです。私はこれを高校生になってから読んだので、やっぱり興奮に欠ける気がしました。この作品から乱歩の世界へと入っていってほしいです。

松谷みよ子『モモちゃんとアカネちゃんシリーズ』


でくのぼうさんの場合

松谷みよ子『直樹とゆう子の物語』シリーズ

今江祥智『優しさごっこ』『冬の光 続優しさごっこ』『紙のお月さま』『○年生のための童話』集

ミヒャエル・エンデ『ジム・ボタンの機関車大旅行』『ジム・ボタンと13人の海賊』

上橋菜穂子『精霊の木』『守り人』シリーズ

角野栄子『魔女の宅急便』(その2,その3も)

荻原規子『これは王国のかぎ』『勾玉三部作』(『空色勾玉』『白鳥異伝』『薄紅天女』)

トーベ=ヤンソン『ムーミン』シリーズ

P.L.トラヴァース『メアリー・ポピンズ』シリーズ

ヨースタイン・ゴルデル『アドヴェント・カレンダー』『鏡の中、神秘の国へ』

リンドグレーン『長靴下のピッピ』シリーズ、『ちいさいロッタちゃん』シリーズ、『やかまし村』シリーズ

斉藤隆介/作,滝平二郎/絵『八郎』『三コ』『半日村』『ゆき』

ルイス=キャロル『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』

モンゴメリ『可愛いエミリー』シリーズ

オルコット『若草物語』シリーズ

末吉暁子『雨ふり花 さいた』

福永令三『クレヨン王国』シリーズ

C.S.ルイス『ナルニア国ものがたり』シリーズ

ローラ=インガルス=ワイルダー『小さな家』シリーズ

灰谷健次郎『太陽の子』『兎の眼』『海の図』『少女の器』『砂場の少年』
『ひとりぼっちの動物園』『なんやななちゃん なきべそしゅんちゃん』『おとなになりたいぼくとこどもになりたいパパ』

岸武雄『神隠しの村』

たつみや章『夜の神話』『水の伝説』

ニコル・バシャラン&ドミニク・シモネ『ネモの不思議な教科書』


むらさき:はい、ありがとうございました。「いちおし」も「おすすめ」も含めると、複数人が挙げた本が増えてきましたね。エンデ、梨木香歩、ルイス、ヤンソン、新見南吉、松谷みよ子、あたりが人気のようですね。重複してない本でも有名な本が多いような気がする。でも、僕は読んでない本も多いなあ。そのうち読まなきゃな。まずは、松谷みよ子から読む予定。さて、続いて漫画編にいきましょうか。うん? 渉さん何か言いたそうだけど?

渉:……やっぱり「子どもに紹介したい本」だから、かたよってしまいますね。本当は私の運命の人・小野不由美さんの作品をオススメしたいのですけど、中学生以前には……あまりにも暗いので(笑)。早く読ませすぎて、小野さんのこと嫌いになられても困るので(難しいですね)。……私は小学校の頃、父親に三島由紀夫を読まされたおかげで、三島由紀夫拒否症になってしまったので(笑)。

むらさき:だいぶ変なとこ、出てきたな。小野不由美さんが運命の人なのか。・・・にしても、小学生に三島由紀夫を読まそうとする父親は、どうなんだ?(笑)

渉:父の話を引きずりながら、漫画編に行きましょう。やっぱり漫画といえば手塚治虫でしょう!父が無類の手塚ファンだったので、私は小さい頃から手塚漫画と接していました。今思えばすごく恵まれた環境だったのですが、小学校低学年の時に『火の鳥』を薦められた私は「何でこんな難しい本しか見せてくれないんだ」なんて憤ったのでした。手塚漫画は年齢に応じて、接していって欲しく思います。

むらさき:では「子どもに紹介したい漫画」です。



<漫画編>


いちおし

渉さんの場合

手塚治虫『火の鳥』
「生命とは何か? 死とは何か?」。歴史や宇宙を超えて描かれる壮大なテーマ。多感な時期にこの作品に出会って、感銘を受けて欲しいです。

川原泉の作品全部!
とても読みにくい(!)漫画なのですが。字は多い、コマ割りは小さい、絵は上手くない……(ひどい私)。でも、私が一番好きな漫画家。じんわりあたたかい漫画です。力の抜けた笑いと感動が同居する川原作品を私は愛してます。ぜひ読んで欲しいです。


でくのぼうさんの場合

手塚治虫『ブラック・ジャック』『三つ目がとおる』『火の鳥』
人間の身体と生命に対する深い知識と愛情から生まれてくる作品たち。人間という存在の小ささを思い知らされる反面、人間ってなんて素晴らしいんだろう、と思わせてくれる。とにかくいいんです。

萩尾望都『ポーの一族』『トーマの心臓』『スター・レッド』『11人いる!』
恐ろしいほどの内向性。この人の作品は美しい絵とリズムのよい詩の響きでいっきに人の心をつかんで深いところまで引き込んでしまう。SFやファンタジーの作品によくテレパシーとか感応力などを持った人が登場するけど、私は萩尾望都その人こそが感応者ではないかと思っている。

竹宮恵子『私を月までつれてって』
優秀な宇宙飛行士ダンとおませな超能力少女ニナという16歳の年の差カップルが繰り広げる、SFコメディー。SFあり、ファンタジーあり、サスペンスありの盛りだくさん。永遠の少年の魂を持つという作者の博識とセンスが光る傑作。

佐々木倫子『動物のお医者さん』
主人公は北海道某国立H大学獣医学部の学生。その愛犬と家族や大学の仲間たちが引き起こすいろんなトラブルを、独特のどことなくぎごちないテンポで面白可笑しく描いている。動物は表情豊かなのに人間の表情が比較的無表情なのもおもしろい。動物好きにはたまらない作品。(これを読んで北大に憧れたことも…。←単純(--;)


むらさき:以上、お二方の漫画のいちおしでした。でくのぼうさん、さらにコメントに力が入ってきましたね。実は本より漫画好き?

でくのぼう:・・・うーん、どっちも好き。渉さんは川原泉かあ。川原泉の漫画は私も好き。友達に借りて読んだ。確かに絵は上手くないし、無意味に字が多かったりするけど、あの独特のテンポ感と何とも言えない暖かみは良いと思う。

むらさき:では、最後に漫画のその他「おすすめ」作品を教えてください。



おすすめ

渉さんの場合

手塚治虫の作品全部!

魔夜峰央
『パタリロ!』
特に初期の話が好きです。時々、真面目な(?)話がありまして、特に「FLY ME TO THE MOON」は一級品かと思われます。私はべらぼうに泣いてしまいました。「少女漫画史上空前長寿ギャグ傑作」です。


でくのぼうさんの場合

池田理代子『ベルサイユのばら』『オルフェウスの窓』

大和和紀『はいからさんが通る』『ヨコハマ物語』『N.Y.小町』『あい色神話』『菩提樹』『翼あるもの』

白土三平『カムイ伝』『忍者武芸帳−影丸伝−』『サスケ』

竹宮恵子『ファラオの墓』『天馬の血族』『地球(テラ)へ…』

清水玲子『月の子』『輝夜姫』『ミルキーウェイ』『天使たちの進化論』『竜の眠る星』


むらさき:ありがとうございました。

渉:……思ったより、漫画のオススメがありませんでした。高校生以上に薦める作品なら、それこそ「これでもか!」ってなくらいに列挙できるのですが……。

むらさき:高校生以上って……。どんな漫画が飛び出してくるのやら? 怖いから、ひとまず聞かないでおくね。これについては、またコーナー変えて紹介してもらうかも。

むらさき:「子どもに紹介したい本」はこれでひとまずおしまいです。今回は3人もの方にコメントしてもらって、本当に感謝です。もし、「私にも言わせて!」というような方がいらしたら、是非ご一報ください。子どもたちの読書生活が豊かでありますように。